診療内容・特長
がん治療の方法には、手術、薬物療法、そして放射線治療があります。その中でも放射線治療は、非侵襲的であり体への負担が少ない治療です。また治療装置の進歩により、以前よりも副作用が少なく効果的な治療ができるようになりました。
患者さんの病気の状態に合わせて、放射線治療には根治を目的としたものから、症状緩和のためのものなど様々な方法が検討されます。
より高精度な治療を行うために当院は最新の放射線治療装置の一つであるスウェーデンのElekta社が開発した「Synergy(シナジー)」を2021年に更新しました。この装置の特徴は、放射線治療装置に標的位置確認用のX線撮影システムが搭載されており、患者さんの照射直前の位置の確認のために、レントゲンやCTスキャンを撮影できる点です。そして、この得られた画像と治療計画時の位置とを合致させ、病気に対して正確に治療することが可能です。この放射線治療システムを一般的にIGRT:Image – Guided Radiation Therapy(画像誘導放射線治療)と呼ばれています。
放射線治療装置
治療計画CT
IGRT
IGRT(画像誘導放射線治療)とは、放射線治療装置に搭載されているX線撮影機器によりレントゲンやCTスキャンを撮影し、その画像情報を用いて位置照合を行うシステムです。IGRTを治療直前に行うことにより、身体の状態や標的位置のずれがはっきりとわかり、位置を修正する事で高精度な放射線治療が可能となります。
便ありCBCT
ガスあり
上の図は、放射線治療装置で取得した骨盤部のCTスキャン(コーンビームCT)画像です。白い枠で囲まれている部位(標的)を治療するのですが、便またはガスが通常よりもたくさん存在する場合は、直腸(黄枠)が過剰に照射されてしまいます。CTスキャンではこのような体内の情報がはっきりとわかります。
実際の治療の流れ
(1)放射線受付
自動再来機で発行された外来基本カードを放射線科受付スタッフにお渡しください。
(2)問 診
放射線治療医による問診を原則週1回、また看護師による健康チェックを毎日行っています。不安や疑問点がありましたらお気軽にご相談ください。治療を中断することなく最後まで続けられるように、身体・心理的に支援いたします。
(3)計画用CT
放射線治療の設計図となるCTを撮影します。CTの撮影は30分-1時間程度かかります。このCTをもとに放射線治療医が放射線治療をおこなうための計画を作ります。
(4)治 療
1回の治療は入室から退出まで10-15分程度です。放射線治療をする身体の部位にマジックで目印を書きます。放射線治療中は痛みや熱感は感じません。放射線治療は外来通院により治療が可能ですが、治療期間は2か月程かかる場合もあります。
☆治療期間中、目印が薄くなった場合には専門スタッフが書きますので、ご自身で書き足さないようご協力ください。終了後は入浴などにより消えます。
(5)会 計
放射線治療の会計は総合受付1番で行います。初診時に治療スタッフがご案内説明します。
放射線科(放射線治療)部スタッフ
常勤医師1人、非常勤医師1人、放射線治療技師4人、看護師3人、受付事務1人
放射線安全委管理員会委員スタッフ
放射線取扱主任者2名、産業医1名、薬剤師1名、看護師1名、総務部1名
放射線科(治療) 治療実績(2023年度)
放射線治療装置:1台 Elekta社製 Synergy HexaPOD 2021年導入
外照射:290例(他院紹介患者168例)
脳:12例
食道:6例
乳腺:99例
前立腺:49例
腹部(前立腺除く):29例
骨:54例
ケロイド:11例
緩和・その他:30例
放射線科(放射線治療)部/放射線安全管理委員会の資格取得・業績(2019年-2023年)
-2019年-
論文(共著)(JJCO)
論文(共著)(Case Rep Urol)
論文(共著)(Mol Clin Oncol)
寄稿(JASTRO NEWSLETTER)
学会発表(小線源部会)
発表 病理検討会
講演会 1回
-2020年-
第一種放射線取扱主任者試験合格 2名
学会発表(泌尿器科学会)
放射線業務従事者に対する教育及び訓練(院内)
-2021年-
第一種放射線取扱主任者試験合格 1名
論文(Jpn J Urol Surg)
学会発表(共同)(埼玉県医学会総会)
放射線業務従事者に対する教育及び訓練(院内)
-2022年-
緩和認定医取得 1名
学会発表(緩和医療学会)
講演会 1回
放射線業務従事者に対する教育及び訓練(院内)
-2023年-
論文(Palliat Care Res)
学会発表(筆頭)(放射線学会)
学会発表(筆頭)(JCO)
-2024年-
論文(Jan J Urol Surg)
学会発表(筆頭)(緩和医学学会)
論文(筆頭)(埼玉県医師会誌)
学会発表(筆頭)(がん関連三学会 Rising Star)
スタッフ紹介
氏名 | 牧野 壮壱 (まきの そういち) |
---|---|
役職 | 放射線科医長・放射線安全管理委員会委員長 |
専門 | 放射線科(放射線治療) |
資格 | 放射線科専門医/研修指導者 放射線治療専門医 第一種放射線取扱主任者 日本緩和ケア学会認定医/研修指導者 がん治療認定医 メサペイン処方可能医師 難病指定医 |
出身校 | 信州大学 |