臨床免疫センターは①血液分野(血液系の自己免疫が関与している疾患や腫瘍免疫)②神経免疫疾患の分野③リウマチ膠原病分野を包括的に診療していくユニットとして開設します。現在これらの分野では分子標的薬(抗体製剤、低分子化合物)などが次々と開発され飛躍的に治療成績が向上している分野となります。使用する薬剤も多岐に渡り、副作用管理も含め当院のように24時間、365日救急応需している急性期病院でなければ管理が難しくなっています。それぞれにオーバーラップしている領域や治療薬、治療法などがあるためそれぞれの分野に精通し治療を行う方が精度も上がります。
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主な治療
免疫調節薬 br>
免疫抑制薬 br>
生物学的製剤(抗体製剤) br>
生物学的製剤(低分子化合物) br>
分子標的薬(抗がん剤を含む)抗補体製剤 br>
ステロイドパルス療法 br>
大量γグロブリン療法(IVIg) br>
急性血液浄化療法(単純血漿交換、二重膜ろ過、免疫吸着療法など)
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①神経免疫分野 (当院で4年間の間に入院治療、外来治療を行った疾患)
- 多発性硬化症(MS)
- 視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)
- 重症筋無力症(MG)
- Lambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)
- 多発性筋炎/皮膚筋炎
- ギラン・バレー症候群(GBS)Fisher症候群
- 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)
- 中枢末梢連合脱髄症(CCPD)
- 抗NMDAR脳炎(卵巣奇形腫合併)
- 自己免疫性辺縁系脳炎
- アミロイドアンギオパチー関連炎症
- 肥厚性硬膜炎
- 原発性中枢神経血管炎(PCNSV)
- HTLV-1関連脊髄症(HAM)
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関連所属学会
日本神経学会 br>
日本神経免疫学会 br>
日本急性血液浄化療法学会 br> br>
自己免疫によって引き起こされる神経疾患は多岐に渡ります。 br>
急性期の基本治療としてはステロイドパルス療法や大量ガンマグロブリン療法(IVIg)がメインになる場合が多いですが、疾患によっては急性血液浄化療法(単純血漿交換、二重膜濾過法、免疫吸着療法など)を行わないと急速に進行し重い後遺症を残す場合があるため疾患と病勢から判断し方針を決定します。 br>
多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)の再発予防、重症筋無力症(MG)の急性期治療と再発予防治療には、近年新たな機序の分子標的薬が続々と承認され、患者さんのライフスタイルや希望に応じて選択することができるようになっています。
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②リウマチ膠原病分野 (当院で4年間の間に入院治療、外来治療を行った疾患)
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 抗リン脂質抗体症候群
- シェーグレン症候群
- 全身性強皮症
- 多発性筋炎/皮膚筋炎
- 混合性結合組織病
- リウマチ性多発筋痛症
- RS3PE症候群
- 顕微鏡的多発血管炎(MPA)
- 多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
- 巨細胞性動脈炎
- 抗糸球体基底膜抗体病(抗GBM病)
- IgA血管炎
- 成人発症スティル病
- IgG4関連疾患
- ベーチェット病
- 菊池病
- Sweet病
- 再発性多発軟骨炎
- 乾癬性関節炎
- 炎症性腸疾患に伴う関節炎
- SAPHO症候群
- 水疱性類天疱瘡
- 膠原病性肺動脈性肺高血圧症(PAH)
- 原発性胆汁性胆管炎(PBC)
- 橋本病(慢性甲状腺炎)
- Basedow病
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関連所属学会
日本臨床免疫学会 br>
日本リウマチ学会 br>
日本臨床リウマチ学会 br>
日本リウマチ財団 br>
日本急性血液浄化療法学会 br>
日本整形外科学会(仲田裕紀先生) br> br>
リウマチ膠原病分野でも1990年代後半まではステロイド(糖質コルチコイド)と一部の免疫抑制薬の使用しか行えず疾患の病勢をコントロールするのが難しい時代が続きました。 br>
ステロイド(糖質コルチコイド)の使用量も多く、ステロイドによる副作用から寿命が短くなってしまう状態でした。 br>
1990年代後半から関節リウマチに対する生物学的製剤が次々と発売され、最近はJAK阻害剤という内服薬も使用できるようになりました。発症後早期よりしっかりとした計画を立て治療していけば関節リウマチで関節が変形してしまうことはほとんどなくなりました。 br>
自分に適したお薬を選ぶ上で、投与方法(点滴か皮下注製剤か内服薬か、投与間隔など)やお薬の値段(新しく承認された薬剤は基本的に高額)などを十分に検討する必要があります。 br>
SDM(Shared decision making)を基本として医師と患者さんが話し合って決めていく必要があります。当院では日本整形外科学会認定リウマチ医の仲田裕紀先生とも意見を交換し合いながら診療を行っております。 br>
全身性エリテマトーデス(SLE)や強皮症、血管炎症候群などに対しても新たな機序のお薬が続々と承認されています。そのような新規治療薬の適応がある患者さんには積極的に導入しております。血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症など)の診断、治療数は利根医療圏(さいたま北部地域)では抜きん出ています。
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③血液分野 (当院で4年間の間に入院治療、外来治療を行った疾患)
- 巨赤芽球性貧血(胃全摘など)
- 悪性貧血(抗内因子抗体、抗胃壁細胞抗体陽性)
- 亜急性連合性脊髄変性症
- 再生不良性貧血(AA)
- 後天性赤芽球癆(PRCA)
- 温式自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
- 寒冷凝集症(CAD)
- 骨髄異形成症候群(MDS)
- 真性赤血球増多症(PV)
- 本態性血小板血症(ET)
- 慢性骨髄性白血病(CML)
- 急性骨髄性白血病(AML) br>
急性骨髄性白血病(M1) br>
急性前骨髄性白血病(M3)(診断後転院) br>
急性骨髄単球性白血病(M4) br>
急性単球性白血病(M5) - 骨髄異形成関連変化を有するAML(骨髄異形成症候群から急性白血病への転化:AML-MRC)
- 急性リンパ性白血病(ALL)(診断後転院)
- ホジキンリンパ腫(古典的ホジキンリンパ腫)
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DCBCL)
- 濾胞性リンパ腫(FL)
- MALTリンパ腫
- 中枢神経原発悪性リンパ腫
- リンパ形質細胞性リンパ腫
- 原発性マクログロブリン血症
- 多発性骨髄腫
- 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)
- 形質細胞性白血病
- POEMS症候群
- 全身性ALアミロイド―シス
- 免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)
- 血栓性微小血管症(血栓性血小板減少性紫斑病:TTP)
- 後天性血友病A
- 血球貪食リンパ組織球症(HLH)
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関連所属学会
日本血液学会 日本臨床腫瘍学会 br>
日本リンパ網内系学会(日本リンパ腫学会) br>
日本骨髄腫学会 br>
日本血液疾患免疫療法学会 br>
日本急性血液浄化療法学会 br> br>
利根医療圏には血液疾患を診断、治療できる医師や病院が極端に少なく、病気を見過されていることも多々あるのが現状です。特に最近では抗がん剤治療が外来通院で行われるようになってきているため、高齢者で遠方まで頻回に通えない方は治療を継続すること自体が困難になることもあります。 br>
当院は埼玉県で救急車受け入れ台数が常にトップクラスであり、色々な疾患を複合的に持っていらっしゃる方が多く運ばれてきます。血液疾患が疑われる場合は骨髄穿刺、骨髄生検(骨髄:骨の中にある血球や血小板などを作っている組織)を含めた検査を速やかに行い診断をつけるようにしています。 br>
血液分野でも抗体製剤や低分子化合物などの分子標的薬の進歩が急速に進んでおり、疾患自体を完全に治癒させることが出来なくとも普通の方と同じように生活できる状態を維持することが可能になりました。 br>
白血病では最終的に骨髄移植が必要になることが一般的ですが、移植の適応とならない高齢者ではこれまで有効な治療がほとんどありませんでした。非移植適応の高齢者に対しても有効な薬剤レジメンが使用され始めています。 br>
悪性リンパ腫や多発性骨髄腫でも非移植適応の高齢者に対して有効な薬剤レジメンが次々と使用できるようになってきています。 br>
当院では骨髄移植やCAR-T細胞療法などは行っておりませんが、その必要がある場合は高次医療施設に紹介致します。 br>
当地域の高齢者の方が少しでも自宅の近くで治療を継続できるよう努めて参ります。ご家族が頻回に患者さんを外来に連れてこられない場合は、短期の入院加療を含めてご相談させていただきます。
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スタッフ紹介
氏名 | 竹之下 拓(たけのした ひらく) |
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役職 | 脳神経内科部長/臨床免疫センター長 |
専門 | 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科 |
資格 | 日本内科学会認定内科医・指導医 日本神経学会認定 神経内科専門医・指導医 日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医 日本神経免疫学会認定 神経免疫診療認定医 日本リウマチ財団リウマチ登録医 日本臨床免疫学会認定 免疫療法認定医 日本医師会認定産業医 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由) |
出身校 | 群馬大学 |
氏名 | 仲田 裕紀(なかた ゆうき) |
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専門 | 一般内科・整形外科 |
資格 | 日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定リウマチ医 |
出身校 | 日本大学 |