心臓の健康を、
地域とチームで支える
当院循環器内科は、地域医療支援病院として、近隣医療機関との連携を最重要視し、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供いたします。総合病院の強みを活かし、専門的な治療から予防、退院後の逆紹介を通じた地域連携を通して心臓病に対する加療を行っております。
専門性と総合的な循環器診療
当院では、以下のような特徴を有しながらも、不整脈、虚血、心不全、弁膜症といったそれぞれの問題点だけでなく、総合的な循環器診療を提供しています。
1. 頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション
当院は日本不整脈心電学会認定の不整脈専門医研修施設として常勤の不整脈専門医によるカテーテルアブレーションを行なっています。心房細動を筆頭に上室性頻拍、心室頻拍、心室性期外収縮まで幅広くアブレーションを行なっております。
カテーテルアブレーションは通常3泊4日入院で行なっています。
※2025年5月より発作性心房細動に対するパルスフィールドアブレーション(PFA)を開始いたしました。従来からある熱・冷凍アブレーション方法と異なり、心臓・食道・横隔神経への合併症が減少することにより安全性がさらに向上しています。
PulseSelect™ パルスフィールドアブレーションシステム(日本メドトロニック)
2. 塞栓・出血リスクの高い心房細動に対する経皮的左心耳閉鎖術(LAAC)
心房細動による血栓塞栓症予防のために抗凝固療法が必要で
- 出血リスクが高い(維持透析など)、あるいは脳出血、消化管出血をすでに発症してしまい、長期間の抗凝固療法が困難な患者様。
- 抗凝固薬を内服しているにも関わらず塞栓症を発症した患者様
対してカテーテルによる経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN FLX Pro™)を行なっています(3泊4日入院)。
術後最短45日で抗凝固療法を終了することが可能となっています。左心耳の形や御希望によって経皮的左心耳閉鎖術不適応の患者様については当院心臓血管外科にて外科的左心耳閉鎖を行なっていただいております。
当院は2023年度より開始し、医師、放射線技師、生理検査技師、看護師を含めた左心耳閉鎖チームが豊富な経験を有しております。
3. 虚血性心疾患・末梢動脈疾患
当院は日本心血管インターベンション治療学会研修施設に認定されております。虚血性心疾患や末梢動脈疾患に対する質の高いカテーテル治療を提供しています。
- 冠動脈CT
- 心臓カテーテル検査:冠動脈造影(診断カテーテル検査)は日帰り入院で行なっています。FFRといったインターベンションの適応のみならず、冠攣縮性狭心症の診断(アセチルコリン負荷試験)、これまで診断がつかなかった微小循環障害による狭心症においてもデバイス(CoroFlowTM)を用いて評価しております。
- 心臓カテーテル治療(PCI):経皮的冠動脈形成術/ステント留置術(PCI)は1泊2日入院で行なっています。高度石灰化病変を伴う症例へのDebulkingデバイス(Rotablator ProTM , DiamondbackTM, ShockwaveTM)を使用し、良好な成績を収めています。
- 急性冠症候群(ACS)への迅速対応:救急搬送から再還流まで(Door to balloon)90分以内が可能な体制を整えています。
- 末梢動脈疾患へのEVT:下肢動脈など末梢動脈疾患に対するEVTも行っており、急性下肢動脈閉塞・下肢壊疽については心臓血管外科・形成外科と協力して治療を行なっています。
4. 徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み術
完全房室ブロック、洞不全症候群といった徐脈性不整脈に対してのペースメーカー植え込み術を行っています(1週間入院)。電池寿命による交換術については最短2泊3日入院で行なっています。
当院はリードレスペースメーカー植込の施設基準を満たしており、高齢・透析・アクセスルートなどの問題で経静脈リードを用いたペースメーカーが不適応な症例に対してはリードレスペースメーカーを選択しています。
5. 心不全に対する心臓再同期療法(CRT)/ 致死性不整脈に対する植込型除細動器(ICD)
心機能が低下した症例に対する選択肢の一つとして心臓再同期療法(CRT)があります。NYHA III~IV度の中等度〜重度の心不全あるいは完全房室ブロックを伴った収縮不全の症例に適応となっています。
心室細動・持続性心室頻拍の既往、Brugada症候群による突然死のリスクが高い症例に対しては植込型除細動器も施行しています。
6. 心肺停止・心原性ショックに対する補助循環(ECMO/IMPELLA)
当院は救急総合病院であり、心室細動・肺塞栓症による心肺停止症例によっては経皮的人工心肺(ECMO)導入を行なっています。
急性心筋梗塞・劇症型心筋炎・重度僧帽弁閉鎖不全症などによる心原性ショックに対しては埼玉県利根保健医療圏唯一の実施施設である補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA™)が使用可能であり、従来であれば救命が不可能であった症例についても救命することが可能になってきています。
7. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断・治療
心疾患のリスクにもなる睡眠時無呼吸症候群に対しては、外来での簡易型検査器具の貸し出しを行い、AHI(無呼吸指数)40以上の場合には重度の無呼吸としてCPAP導入しています。
簡易検査で20≦AHI<40では1泊2日の精密検査入院を行い、確定診断ののち、CPAPを導入しています。
心不全地域連携:「久喜ハートノート」
心不全は入退院を繰り返しながら、段々と悪くなっていく病気です。再入院の原因としては、塩分・水分制限、生活習慣の管理が不十分なことが多いとされています。生活習慣の管理を行い、生活の質を維持しながら入退院の回数を減らすためには、かかりつけ医の先生方や訪問看護師、介護スタッフ、薬剤師、理学療法士など多職種で、地域一体となって診療を行っていく必要があります。
そのためには病院内外の多職種でのスムーズな情報共有が必要であり、その手段として、久喜ハートノート・心不全地域医療連携パスを運用しています。久喜ハートノートではバイタルサイン、体重、自覚症状を点数化することにより、治療の経過を確認できます。近隣医療機関と地域連携を図ることで患者様が退院後も安心して暮らせる環境を整えることを目標としております。
治療実績:信頼と経験の証
当院では、豊富な実績と経験を持つ専門医が患者さんをサポートしています。以下は近年のカテーテル検査および手術の実績です。
カテーテル検査・手術実績
2023年 | 2024年 | |
---|---|---|
CAG | 456 | 421 |
PCI | 362 | 240 |
EVT | 43 | 43 |
アブレーション | 136 | 153 |
ペースメーカー/ICD/CRT | 87 | 74 |
左心耳閉鎖(LAAC) | 15 | 54 |
ECMO | 34 | 19 |
IMPELLA | 18 | 15 |
循環器内科 専攻医・医師募集:あなたの情熱を、ここで活かしませんか?
当院循環器内科は、地域医療の中核を担う救急総合病院として、日々多岐にわたる症例と向き合っています。現在は少数精鋭の2名体制で診療にあたっており、この環境があなたのキャリアを飛躍的に加速させる大きなアドバンテージとなります。
当院で得られる経験と成長の機会
- **早期からの術者経験**: 症例数に比してスタッフの人数が少ないため、臨床研修終了後の3年目から主要な手技に**術者として積極的**に携わることができます。豊富な手技経験を積むことで、短期間での技術習得と自信を確立できます。
- **多種多様な症例経験**: 急増する心不全症例も豊富に経験できる他、重症症例に対するECMO、IMPELLAといった補助循環管理、さらにはTAVRやLAACといった構造的心疾患(Structural Heart Disease)に対する最先端のインターベンションまで、地方の救急総合病院ならではの幅広い手技を経験できます。
- **専門医研修施設としての充実した環境**:
• 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設
• 日本心血管インターベンション治療学会認定研修施設
• 日本不整脈心電学会認定不整脈専門医研修施設専門医資格取得に向けた質の高い研修環境が整っています。
- **幅広い受け入れ体制**: 内科後期研修(専攻医)だけでなく、後期研修終了後から開業までの間の短期研修、特定分野の研修も受入実績があります。あなたのキャリアプランに合わせた柔軟な働き方が可能です。
都会の大病院やハイボリュームセンターでは経験しにくい、重症症例の管理から最新のインターベンションまで、一貫して深く関われるのが当院の大きな魅力です。少人数のチームだからこそ、一人ひとりの医師が主役となり、症例検討から治療方針の決定、手技実施まで、主体的に医療を実践できる環境があります。
あなたの意欲と情熱を、当院で最大限に活かし、地域医療に貢献しませんか?
ご興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
スタッフ紹介
氏名 | ![]() |
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役職 | 循環器内科部長、循環器内科不整脈センター医長 |
専門 | 循環器病学一般 |
資格 | 日本内科学会認定総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医 日本心血管インターベンション学会専門医 日本不整脈心電学会認定不整脈専門医 植込み型除細動器(ICD)/ペーシングによる心不全治療(CRT)研修修了 臨床研修指導医講習会修了 がん診療に携わる医師のための緩和ケア研修会修了 浅大腿動脈ステントグラフト実施医(VIABAHN) |
出身校 | 信州大学 |
氏名 | 田島 幸佳(たしま ゆきよし) |
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役職 | 循環器内科医長 |
専門 | 循環器内科 |
資格 | 日本内科学会認定総合内科専門医 日本循環器学会循環器専門医 日本心血管インターベンション治療学会認定医 臨床研修指導医養成講習会修了 J-OSLER指導医 浅大腿動脈ステントグラフト実施医(VIABAHN) |
出身校 | 杏林大学 |
氏名 | 上西 将之(かみにし まさゆき) |
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専門 | 循環器内科(非常勤医師) |