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1. 破裂脳動脈瘤・くも膜下出血

この疾患に対する治療は、下記の3点に集約されます。
①再破裂防止のための処置
②脳血管攣縮(脳の血管が細くなり、その程度によっては脳梗塞に陥る病態、くも膜下出血発症第4病日から約2週間程度の間に起こる)の予防
③正常圧水頭症に対する処置

①破裂防止のための処置について

この処置には開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術、および血管内手術によるコイル塞栓術の2通りがあります。当科においては開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術を第一選択と考えています。その理由は、まず第一に、脳動脈瘤治療の長い歴史の中で、根治性が確立されている事があげられます。また、②の脳血管攣縮は、くも膜下出血による血腫の成分がその原因であることから、開頭手術の際にできる限り血腫を洗い流すことにより、脳血管攣縮の予防に寄与できるから、というのもその理由です。

②脳血管攣縮の予防

以前に我々が報告したプロトコール(破裂脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術の治療成績 ―特に術後中枢性塩類喪失症候群対策を主体とした 脳血管攣縮予防を中心に―、脳卒中の外科 37: 258 ~ 263, 2009)は, 脳血管攣縮防止において、非常に良好な成績を収めており、当院においても同一の治療を行っています。具体的には、術中の可及的血腫洗浄、術後の脱水、低ナトリウム血症の積極的補正を行う、というものです。

③くも膜下出血後正常圧水頭症

くも膜下出血後の脳脊髄液の循環・吸収障害によって、脳の内部(脳室と呼ばれるところ)に徐々に脳脊髄液が貯留し起こる病態です。主な症状は、認知症様症状、尿失禁、歩行障害(3主徴)です。脳室腹腔短絡術という手術を行い治療しています。手術により、これらの症状はほぼ100%消失します。

2011年4月開院から2014年8月までの間の「くも膜下出血手術症例の結果」を下記にまとめました。

■くも膜下出血手術症例の結果
くも膜下出血手術症例の結果
全症例44例,H & K grade別、予後(mRS)