放射線科ではCT、MRI、核医学、X線検査などの検査を最新の装置で行っています。画像診断は放射線診断専門医によってなされ、検査結果の報告書が翌診療日までに作成されます。
これまでに培ってきた豊富な経験と知識を活かして、丁寧な読影とわかりやすい報告を心がけています。
さらに脳神経医学と核医学およびIVRは、専門家の非常勤医師の協力を得ており、質の高い診療がなされています。医療連携で地域の医療機関からの検査も承っており、迅速な対応をしております。
放射線科医、診療放射線科技師および看護師が、皆様の検査を安全に安心して受けて頂けるように常日頃から努めています。
診療内容・特長
現在、がんに対する治療法は、手術、化学療法、放射線治療の3本柱として確立されています。その中でも放射線治療は、非侵襲的であり体への負担が少ない治療といわれています。また近年の放射線治療はコンピュータや治療装置の進歩により、以前よりも副作用が少なく効果的な治療ができるようになりました。
しかし、日本では欧米に比べて放射線治療を施行する割合が低い現状があります。放射線治療には、根治を目的とした照射から、症状緩和のための照射まで患者さんの症状に合わせて様々な照射が検討されます。放射線治療は外来通院により治療が可能ですが、治療期間は1か月程かかる場合もあります。できるだけ通院に負担が掛からないために、また地域医療の一つとして、当院は最新の放射線治療装置の一つであるスウェーデンのElekta社が開発した「Synergy(シナジー)」を導入しました。
この装置の特徴は、放射線治療装置に標的位置確認用のX線撮影システムが搭載されており、患者さんの放射線治療照射直前の位置の確認のために、レントゲンやCTスキャンを撮影します。そして、この得られた画像と治療計画時の位置とを合致させ、目的に対して正確に治療することが可能です。この放射線治療システムを一般的にIGRT:Image – Guided Radiation Therapy(画像誘導放射線治療)と呼んでいます。

放射線治療装置

治療計画CT

線量校正用水ファントム

プロファイラー

人体模擬ファントム
線量計測用水ファントムは、治療装置が出力する放射線量を測定する為に使用します。 患者さんに照射する放射線量の確認や出力校正のために週1回の頻度で確認および調整を行っています。プロファイラーは、放射線が照射される範囲(照射野)を確認するために使用します。人体模擬ファントムは、実際の患者さんに見立てて、治療で使用する放射線量が正しいかを検証するために用います。治療計画検証は放射線に反応するフィルムや線量計を人体模擬ファントムに挿入して行います。他にも放射線治療を適切に施行するために、多数の品質管理機器を使用しています。 当院では、放射線品質管理の専門スタッフが、コンピュータが計算した治療計画が、間違いなく照射されることをすべての治療計画に対して確認しています。
実際の治療の流れ
(1)放射線受付
自動再来機で発行された外来基本カードを放射線科受付スタッフにお渡しください。
(2)問 診
放射線治療医による問診を原則週1回行っております。また、看護師による健康チェックを毎日治療前に行っています。不安や疑問点がありましたら気軽にご相談ください。治療を中断せず最後まで受けられるように、身体心理的にサポートさせていただきます。
(3)治 療
1回の治療は入室から退出まで10?15分程度になっています。位置合わせの際には、マーキングと言って身体にマジックで照射をする個所の目印を書かせていただきます。治療期間中、薄くなりましたら付け足して書きますが、終了後は自然と消えますのでご安心ください。実際の治療は数十秒?5分程度となっています。痛みや熱感は感じませんので心配ありません。
(4)会 計
放射線治療の会計は総合受付1番となっております。初回の治療終了時に治療スタッフがご案内させていただきます。
IGRT
IGRT(画像誘導放射線治療)とは、放射線治療装置に搭載されているX線撮影機器によりレントゲンやCTスキャンを撮影し、その画像情報を用いて位置照合を行うシステムです。IGRTを治療直前に行うことにより、身体の状態や標的位置のずれがはっきりとわかり、位置を修正する事で高精度な放射線治療が可能となります。

便ありCBCT

ガスあり
上の図は、放射線治療装置で取得した骨盤部のCTスキャン(コーンビームCT)画像です。白い枠で囲まれている部位(標的)を治療するのですが、便またはガスが通常よりもたくさん存在する場合は、直腸(黄枠)が過剰に照射されてしまいます。CTスキャンではこのような体内の情報がはっきりとわかります。


上の図は位置照合用のレントゲン写真です。治療計画の写真と治療直前に撮影した写真を重ねることにより標的位置のズレがわかります。位置修正後には、ズレがなくなり(上右図)、計画通りの治療が可能となります。
スタッフ紹介
氏名 | ![]() (ふたみ ちょういちろう) |
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職位 | 放射線科部長 |
所属 | 放射線科 |
資格 | 日本医学放射線学会放射線診断専門医 日本医師会認定産業医 臨床研修指導医養成講習会修了 |
出身校 | 日本医科大学 |
氏名 | ![]() (さたけ みつお) |
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職位 | 画像診断センター長 |
所属 | 放射線科 |
資格 | 日本医学放射線学会放射線診断専門医 IVR専門医 健診マンモグラフィ読影認定医 |
出身校 | 鹿児島大学 |
氏名 | ![]() |
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職位 | 放射線科医長 |
所属 | 放射線科 |
資格 |
放射線科専門医 放射線治療専門医 緩和ケア研修会修了 がん治療認定医 |
出身校 | 信州大学 |
学術実績
11/11/18 | 日本放射線腫瘍学会 第24回学術大会 神戸ポートピアホテル 「新リニアック室立ち上げにおけるBeam Commissioningの評価」 西山史朗、眞壁耕平、遠山正和、小松哲也 |
12/3/11 | 埼玉県放射線技師会 第27回学術大会 JA共済埼玉ビルディング 「Alignmentbarを使用したXVIシステムの中心軸精度の検討」 眞壁耕平、西山史朗、遠山正和 |
12/4/12 | 第103回 日本医学物理学会学術大会 パシフィコ横浜 「Log fileを利用したElekta MLCi 位置精度解析」 西山史朗、眞壁耕平、齋藤俊樹、遠山正和、小松哲也 |
12/11/23 | 日本放射線腫瘍学会 第25回学術大会 東京国際フォーラム 「Log fileを利用したElekta MLCi、Back up jawの位置精度解析」 西山史朗、眞壁耕平、齋藤俊樹、遠山正和、小松哲也 |
13/3/3 | 埼玉県放射線技師会 第28回学術大会 大宮ソニックシティ 「Picket Fence TestにおけるFilm、CRプレート、EPIDを利用したError検出能の統計学的検討」 齋藤俊樹、眞壁耕平、西山史朗、遠山正和 |
13/4/11 | 日本放射線技術学会 第69回総会学術大会 パシフィコ横浜 「中リスク前立腺癌に対する6arc打ち抜き原体照射法の有用性の検討」 西山史朗、眞壁耕平、齋藤俊樹、遠山正和、小松哲也 |
13/7/6 | 第40回 関東農村医学会学術集会 ラフレさいたま 「当院における前立腺MRI検査の画像診断における有用性について」 内田靖之、国吉歩、早川和宏、林敏彦医師 |
13/7/6 | 第40回 関東農村医学会学術集会 ラフレさいたま 「冠動脈CTにおけるPADDING TIME設定の検討」 市橋勇気、大槻卓也、神山貴幸、井上泰男、早川和宏、林敏彦医師 |
13/7/6 | 第40回 関東農村医学会学術集会 ラフレさいたま 「外装micro Multi Leaf Collimatorのコミッショニングの評価」 齋藤俊樹、眞壁耕平、西山史朗、遠山正和、早川和宏 |
13/9/20 | 日本診療放射線技師会 第29回学術大会 島根県民会館 「kV-IGRTにおける前立腺照合の精度改善に向けた取り組み-Systematic Errorを付加させたkV-IGRTプロトコルの作成 -」 眞壁耕平、西山史朗、齋藤俊樹、遠山正和、早川和宏、小松哲也 |
13/10/20 | 日本放射線腫瘍学会 第26回学術大会 ホテル青森・リンクステーション青森 「Log file を利用した外装micro-Multi Leaf Collimatorの位置精度解析」 西山史朗、眞壁耕平、齋藤俊樹、遠山正和、早川和宏、小松哲也 |
14/2/26 | 埼玉県診療放射線技師会 第29回学術大会 大宮ソニックシティ 「強度変調放射線治療に向けた低MU精度検証について」 荒川翼、眞壁耕平、齋藤俊樹、西山史朗、早川和宏 |
14/2/26 | 埼玉県診療放射線技師会 第29回学術大会 大宮ソニックシティ 「前立腺IMRTにおける2D-2D骨照射によるPTV marginの基礎的検討」 眞壁耕平、西山史朗、荒川翼、齋藤俊樹、早川和宏 準優秀賞選出 会誌「埼玉放射線」238号 論文掲載 |
14/2/26 | 埼玉県診療放射線技師会 第29回学術大会 大宮ソニックシティ 「当院におけるFFRと定量的冠動脈評価ツールの相関性について」 大槻卓也、神山貴幸、井上泰男、早川和宏 準優秀賞選出 会誌「埼玉放射線」238号 論文掲載 |
14/4/10 | 第70回日本放射線技術学会総会学術大会 パシフィコ横浜 「Log fileを利用した外装micro-Multi Leaf CollimatorにおけるLeaf Gap Width精度解析」 西山史朗、眞壁耕平、齋藤俊樹、荒川翼、早川和宏、小松哲也 |
14/9/19 | 第30回日本診療放射線技師学術大会 別府国際コンベンションセンター 「頭部定位放射線治療用固定具に付随するネジを利用したRoll,Pitch方向の回転誤差補正の基礎的検討」 眞壁耕平、西山史朗、荒川翼、石原優希、早川和宏 |
14/12/11 | 日本放射線腫瘍学会 第27回学術大会 パシフィコ横浜 「Add-on micro multi-leaf collimatorを使用した脳定位Arc照射の独立計算検証の有用性」 西山史朗、眞壁耕平、早川和宏 |
15/3/1 | 埼玉県診療放射線技師会 第30回学術大会 大宮ソニックシティ 「画像誘導放射線治療における観察者間の2D画像照合誤差の解析」 荒川翼、眞壁耕平、石原優希、西山史朗、早川和宏「画像誘導放射線治療における2D画像中心軸システムの開発と従来解析法との比較」 石原優希、眞壁耕平、荒川翼、西山史朗、早川和宏 座長推薦賞選出 |